昔の歌謡曲などでは電話をかけることを「ダイヤル回して…」と表現することがしばしばありました。今ではもう使う人もいないでしょう。
私が子供の頃は、全ての家の電話がダイヤル式の黒電話で、公衆電話(この言葉自体も死語になりつつありますが…)も全てダイヤル式でした。プッシュホンが登場した時、なにか「未来」を感じたものです。
でも、これからは「ダイヤルって何?」という時代になるんでしょうね。それに今や電話番号を覚えるなんてこともなく、多分、ほとんどの人は何も見なくてもわかる電話番号なんて片手で数えられるほどではないでしょうか?
電話を取り巻く環境も、どんどん変化しているということです。
そんな電話。一人暮らしだと固定電話を持ってないという人も増えていると思いますが、こんな記事を見つけました。
固定電話網の維持、是非を検討へ 過疎地は携帯で代用も
固定電話網の全国一律の維持をNTT東日本と西日本に義務づけている「ユニバーサルサービス制度」について、総務省は見直しの検討に入る。維持コストがかさむため、利用者が少ない過疎地では携帯電話など無線での代用を認めるかどうかなどを議論する。
電話網を維持する費用が負担となり、両社は毎年、この事業で合計800億円ほどの赤字を出している。
この赤字を埋める足しにするため、固定電話や携帯電話の利用者は1番号あたり月2円を負担している。
(朝日新聞デジタル:2018年8月10日の記事より)
災害時の緊急連絡用に固定電話は維持した方が良いと反対意見を上げたいところですが、今の時代では仕方ないのでしょうか。
黒電話ならではのメリット
固定電話と携帯電話の違いは何か?言うまでもなく、「有線か無線か」です。
その固定電話も、今の一般家庭で使われている電話と昔の黒電話では大きな違いがあります。黒電話は、電話機に電話線を繋げば使えますが、今の電話はもうひと手間必要です。
それは「電源を繋ぐこと」です。つまり、一般的な固定電話は使うために電源が必要で、停電になると使えなくなってしまうのです。
「じゃあ、黒電話は電源不要だったのか?」というと、そうではないんです。実は、黒電話も使うためには電力を必要とするのですが、それは電話線から供給されていたのです。なので「停電しても電話線さえ繋がっていればかけられた」のが黒電話。そう考えると、災害時の緊急連絡用にはとても威力を発揮しそうです。
それに引き替え、いろいろな機能がついて便利にはなったものの、今の電話は停電すると使えなくなってしまいます。電話線が繋がっていても、電話機に電気が通じていないと通話できません。つまり現在普及している電話機の大半は、停電したら使えない状況なのです。
「コードレス電話は充電式じゃん」と思う人がいるかもしれませんが、それが繋がる先の親機に電気が通じていないと残念ながら使えないんです。
災害時はどちらの電話が良いのか?
一般的な固定電話が停電すると使えなくなってしまうことを考えると、充電さえされていれば停電でも使える携帯電話の方が、災害時には役に立つかもしれません。それに、大きな災害時などは電話そのものが繋がらないこともあるので、SNSなどで安否を連絡した方が早くて確実ということもあるでしょう。
災害時は情報の入手も重要ですが、停電するとテレビは使えないし、かといって乾電池式のラジオを持っている人も少ないと思いますが、スマートフォンならニュースも見ることができるので、情報を入手するツールとしても使えます。そういう意味では携帯電話の方が災害時に強いと言えるかもしれません。
ただ、もしも黒電話であればバッテリーも電源も不要。そのため、災害時に「電話をする」ということに限っていえば、黒電話の方がメリットが大きいかもしれません。
災害などが起きた時、連絡が取れなくて問題になる確率は、都会よりも地方の方が高いと考えられます。古くからの家がたくさん残っている地方では、まだまだ黒電話が現役という可能性が高いかもしれません。
たった2円で、仮に誰か一人の命が助かるなら安いものではないでしょうか。もちろん、それ以外に企業も負担しているのでしょうが、私はユーザーの負担が1回線あたり2円程度なら、もしもの時のための対策費として払っても良いと思います。
そのあたりの調査をしっかりと行った上で、固定回線の扱いをどうするか決めてもらいたいものです。
まだまだ使える・・・かもしれない黒電話
私はもともと黒電話世代ですので、
- 黒電話はアナログ回線でないと使えない
- アナログ回線には10PPSと20PPSの二種類がある
ということは知っていました。
なので、いくら黒電話が災害に強いとは言っても、インターネットが主流の現在はアナログ回線が減少しています。そもそも黒電話が使える環境が少ないのではないかと思い調べてみました。
すると、「ADSL回線や、ひかり回線ならアナログの電話が使える」ということが分かりました。でも、ひかり回線はデジタルなのに、なんで黒電話が使えるのかな?と思ったら、「ひかり電話用のルーターはプッシュ(デジタル)でもパルス(アナログ)でも自動判別してくれる」とのこと。なるほど。そういうところは妙にハイテクなんですね。
とはいえ、ルーターを介している以上、停電になったら使えません。あくまでも「黒電話を使うこと」ができるだけで、災害時には使えない。
そう考えると、アナログ回線の減少とともに黒電話も消えゆく運命なのかも知れません。